ADH分泌異常症について
最終更新日: 2016-1-28 杉野賢一
1. ADH分泌異常症とは
ADH(抗利尿ホルモン)は、腎臓で作られる尿の量が多くなり過ぎて体内の水分が不足することのないように、ちょうど水道の蛇口をしめるような作用を持つ生命にとって最も重要なホルモンの一つです。このホルモンの分泌量が適量であれば体の水のたまり具合が正常に保たれますが、もし不足すれば中枢性尿崩症という一日の尿量が10リットルにもなるような病気を、また多すぎればSIADH(ADHの分泌過剰症)という水が貯まりすぎて体液が薄くなる病気がそれぞれ発生します。ADHは脳の中の視床下部という場所で合成され、下垂体の後葉から血中に分泌されるホルモンで、腎臓の尿細管という場所で水を取り込む作用を発揮します。
中枢性尿崩症では、尿が近くなりすぐにトイレに行きたくなり(頻尿)、大量に色のない尿(多尿)が出るようになるため夜も満足に寝ていることができなくなります。また、のどの渇き(口渇)や口の中のねばねば感、水のがぶのみ(多飲)が発生するため、患者さん自身が変調に気がつくことが多い病気です。
SIADHでは患者さんが気がつく分かりやすい症状はまずありません。このため病院などの検査時に、水分が貯まりすぎていることを示す低ナトリウム血症として発見されることがほとんどです。
2. この病気の原因はわかっているのですか
中枢性尿崩症はその原因により、1)脳腫瘍、外傷などの視床下部や下垂体を傷害する原因(腫瘍など)がもとになり二次的に発生する続発性中枢性尿崩症(約60%と最も多い)、2)種々の検査で脳腫瘍など原因となるものが見あたらない特発性中枢性尿崩症(約40%)、3)遺伝性に発症する家族性中枢性尿崩症(約1%)の3群に分かれます。
SIADHの病因は、1)肺癌などの癌がADHを勝手に産生する場合、2)脳の病気(中枢神経疾患)あるいは肺の疾患がもとになり、ADHの分泌を調節する機能が異常になり、ADHの分泌を止められなくなる状態などに分かれます。
3. この病気ではどのような症状がおきますか
中枢性尿崩症では多尿、口渇、多飲が主な症状で、その他に、皮膚や口の中の乾燥(ねばねば感)、微熱(汗が出にくいため)、食欲不振などがよく起こります。典型的な場合には、1日の尿量は10~15リットルにもなります。多尿や口渇は糖尿病の症状としても出てくることがあるため、糖尿病を心配されて病院を受診される場合もありますが、尿の中の糖や浸透圧(尿の濃さ)を検査することで簡単に区別できます。中枢性尿崩症では睡眠中も排尿が1~2時間毎にあり、そのたびに水を飲むため睡眠障害も起こします。この病気では脱水傾向になりやすく、夏季でも汗が出ないとか舌がからからになることがあります。小児では夜尿症として見つかることもあります。続発性中枢性尿崩症では脳腫瘍などの原因となる疾患があるため、腫瘍の症状(頭痛、ものが見にくくなるなど)が同時に出てくることがあります。
SIADHは通常定まった症状がないため、患者さんにとっても医師にとっても気がつきにくい病気です。急激に起これば脳浮腫により、けいれんなどの症状が出ることもありますが、ほとんどの場合は血液の検査で、血中の電解質であるナトリウム値が低いことからこの疾患を疑うことになります。
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