不整脈・心房細動で障害年金を受給するためには?受給条件と申請のポイントを解説
最終更新日: 2025-11-05 杉野賢一
不整脈・心房細動とは?
不整脈とは、心臓の拍動リズムが乱れる状態を指し、その中でも心房細動(しんぼうさいどう)は特に高齢者に多くみられる不整脈の一種です。
心房が不規則に震えることで、血流が悪くなり、血栓ができやすくなります。
この血栓が原因で脳梗塞を引き起こすリスクが高くなるため、継続的な治療と日常生活での注意が必要です。
症状としては以下のようなものがあります:
●動悸(胸がドキドキする感じ)
●息切れ
●めまい
●倦怠感
●胸部の違和感や痛み
●意識を失うような発作
これらの症状が慢性的に生じ、就労や日常生活に支障をきたすようであれば、障害年金の対象になる可能性があります。
障害年金とは
障害年金とは、病気やけがで日常生活や就労に制限が生じた人に支給される公的年金制度です。
老齢年金とは異なり、年齢に関係なく、所定の条件を満たせば若い方でも受給できます。
不整脈や心房細動のような循環器疾患も、状態が重くなれば障害年金の対象となることがあります。
ポイントは、「症状の重さ」や「日常生活・就労への支障」がどれほどあるか、という点です。
不整脈・心房細動で障害年金を受給するための条件
1. 初診日要件
障害の原因となった症状で初めて医療機関を受診した日が「初診日」となります。
この初診日が、国民年金または厚生年金の保険加入中である必要があります。
2. 保険料納付要件
初診日の前々月までの1年間に、保険料を滞納していないこと、もしくは一定の納付要件(直近1年間、または全期間の3分の2以上の納付)が必要です。
3. 障害認定日要件
初診日から1年6ヶ月経過した日、またはそれ以前に症状が固定したと医師に判断された日が「障害認定日」となります。この時点の症状や生活状況によって等級が判定されます。
心疾患による障害年金の等級基準とは
不整脈・心房細動は「心疾患」として、障害認定基準のうち「循環器疾患」に該当します。
以下が等級の大まかな目安です。
1級
●心不全が重度で、安静にしていても症状が出る(NYHA分類Ⅳ)
●身の回りのことにも介助が必要なレベル
2級
●日常生活に著しい制限がある(NYHA分類Ⅲ以上)
●労働はほとんど不可能な状態
3級(厚生年金加入者のみ)
●軽作業程度しかできないが、部分的な就労は可能な状態
●心臓ペースメーカー・ICD(植込み型除細動器)・CRT-D(心臓再同期療法)などの機器を装着している場合も、3級に該当する可能性があります
障害年金の審査で重視されるポイント
障害年金の審査では「○○ができるか」ではなく、「○○ができないかどうか」に焦点が置かれます。
心房細動での審査においては、以下の点が重視されます。
●労働や通勤への影響(階段昇降が困難、長時間の立ち仕事ができないなど)
●日常生活での制限(家事ができない、動くとすぐに息切れする等)
●医療機器の使用状況や薬物治療の有無
●心電図、心エコー検査の数値やNYHA分類などの医学的所見
申請に必要な診断書と注意点
心疾患で障害年金を申請する場合、「心疾患の障害用診断書」を医師に記入してもらう必要があります。診断書の内容は受給の可否を大きく左右するため、以下の点に注意しましょう。
●医師に、日常生活でどのような支障があるかを正確に伝える
●検査数値や心機能の詳細がしっかりと記載されているか確認する
●NYHA分類など、等級判定の基準になる項目が記載されているかをチェック
社会保険労務士に相談するメリット
不整脈や心房細動は、検査データや医師の所見に基づいて等級が判断されるため、専門的な知識が必要です。
診断書の依頼内容や申立書の書き方に不安がある方は、社会保険労務士に相談することで、次のようなメリットがあります。
●初診日や認定日の整理を手伝ってもらえる
●医師への診断書依頼時のサポートを受けられる
●症状と日常生活への影響を的確に申立書にまとめてくれる
●不支給や却下を防ぐためのアドバイスが受けられる
まとめ:まずは現在の症状と生活状況を整理しましょう
不整脈や心房細動でも、症状が重く、日常生活や労働に支障があれば障害年金の対象になる可能性があります。
重要なのは、「どれほど生活に支障が出ているか」を適切に伝えることです。少しでも「申請できるかも」と思われた方は、まずは症状と生活状況を記録し、専門家に相談することをおすすめします。
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